「SESから抜けたい」
「今より年収を上げたい」
「20代のうちに年収100万円アップを狙いたい」
このように考えているITエンジニアは多いのではないでしょうか。
しかし、ここで一つ考えてほしいことがあります。
「SESから転職すること」だけを目的にしていないでしょうか?
SESから転職すれば、必ず年収が上がるわけではありません。
転職先によって、
- 年収
- 転職難易度
- 担当する工程
- 身につくスキル
- 将来のキャリア
- 働き方
は大きく変わります。
だからこそ、
「SESからどこへ行くのか」
を考えることが非常に重要です。
この記事では、SES・下請けIT企業で約3年間働いた私の経験も踏まえて、
「SESから年収100万円アップを狙うなら、どこへ転職すべきなのか?」
という視点から、代表的な5パターンを比較します。
今回比較するのは、
- SES → SES上位
- SES → SIer
- SES → 大手SIer
- SES → Web系
- SES → ITコンサル
の5つです。
そもそも「年収100万円アップ」は可能なのか?
結論から言うと、
可能性はあります。
ただし、
「今の仕事を1年間頑張れば、自動的に年収が100万円上がる」
という意味ではありません。
重要なのは、
自分の市場価値を高め、今より高く評価してくれる企業へ移ること
です。
例えば、
「指示された作業を担当するだけ」
という仕事から、
「設計・顧客折衝・プロジェクト推進まで担当する」
仕事へ移れば、求められる能力も変わります。
そして、その経験が次の転職でも評価されるようになります。
つまり、
転職 → 年収アップ → 市場価値アップ → 次の転職でさらに年収アップ
というキャリアを作ることが重要です。
20代のうちは、この最初の一歩をどこに踏み出すかが非常に重要だと私は考えています。
① SES → SES上位
まずは、
SESから、より条件の良いSES企業へ転職するパターン
です。
これは5つの中では比較的挑戦しやすい選択肢です。
例えば、
- 高単価案件が多い
- エンド直・一次請け案件が多い
- 上流工程の案件が多い
- 大手企業との取引が多い
- 還元率が高い
- キャリア支援が充実している
といった企業を狙います。
代表的な企業例
SES・技術者派遣系の代表例としては、
富士ソフト
独立系の大手IT企業で、システム開発からインフラ、クラウド、AIなど幅広い領域を扱っています。
SESだけを専門とする企業ではなく、SIerとしての側面も強いため、単純な客先常駐だけではなく、開発・設計など幅広い経験につながる可能性があります。
パーソルクロステクノロジー
パーソルグループのIT・テクノロジー領域を担う企業です。
ITシステムやアプリケーションの開発、インフラ設計・運用など幅広い技術領域を扱っています。
テクノプロ
国内最大級の技術系人材サービスグループの一つです。
ITだけでなく、AI・組込み・機械など幅広い技術領域を扱っており、大手企業との取引やさまざまな案件を経験できる可能性があります。
※上記はあくまで代表例です。企業規模が大きいからといって、すべての案件・部署で上流工程を経験できるわけではありません。
SES上位のメリット
最大のメリットは、
これまでの経験を活かしやすいこと
です。
例えばPHPの開発経験があるなら、PHP案件。
AWSの経験があるなら、クラウド案件。
インフラ経験があるなら、インフラ案件。
というように、今までのキャリアとの接続がしやすくなります。
また、現在の会社より条件の良い企業へ移ることで、
年収アップと労働環境改善を同時に狙える
可能性があります。
デメリット
一方で、
SESという働き方そのものからは抜けられません。
転職先でも客先常駐が中心になる可能性があります。
「SESから抜けたい」ということが最大の目的なら、別の選択肢を検討した方がいいでしょう。

おすすめ度
★★★☆☆
「まず年収を上げたい」
「今より良いSESへ移りたい」
という人にはおすすめです。
② SES → SIer
次におすすめしたいのが、
SESからSIerへの転職
です。
SIerでは、企業のシステム開発において、
- 要件定義
- 基本設計
- 詳細設計
- 開発
- テスト
- 運用
など、幅広い工程に関わることがあります。
特に、
「今より上流工程に行きたい」
という人には有力な選択肢です。
代表的な企業例
SIerには非常に多くの企業がありますが、代表例としては、
TIS
金融・製造・流通など幅広い業界向けにITサービスを提供する大手SIerです。
システム開発だけではなく、ITコンサルティングやクラウド、DXなど幅広い領域を扱っています。
SCSK
住友商事グループの大手ITサービス企業です。
システム開発だけではなく、ITインフラ、クラウド、セキュリティ、コンサルティングなど幅広いサービスを展開しています。
NTT DATA
国内最大級のITサービス企業の一つです。
官公庁・金融・法人など幅広い分野で大規模なシステム開発やITサービスを手がけています。
SIerのメリット
SIerを目指す大きな理由は、
キャリアの幅を広げやすいこと
です。
例えば、
SESで開発
↓
SIerで設計
↓
要件定義
↓
顧客折衝
↓
PL・PM
というキャリアを作れる可能性があります。
単純な「作業者」から、
プロジェクトを動かす側
へ進める可能性があるわけです。
デメリット
ただし、
「SIerに入れば必ず上流工程ができる」わけではありません。
ここは非常に重要です。
SIerでも案件によっては、
- テスト
- 運用保守
- 開発
- 下流工程
が中心になる場合があります。
そのため、転職するときは会社名だけではなく、
「実際にどの工程を担当するのか」
まで確認してください。
おすすめ度
★★★★☆
「SESから抜けたい」
「上流工程を経験したい」
「将来的にPL・PMを目指したい」
という人におすすめです。
③ SES → 大手SIer
そして、
年収100万円アップを本気で狙うなら、ぜひ挑戦してほしいのが大手SIerです。
大手SIerでは、
- 大規模システム
- 金融
- 官公庁
- 大手企業
- 社会インフラ
など、非常に大きなプロジェクトに関わる機会があります。
代表的な企業例
NTT DATA
日本を代表する大手ITサービス企業の一つです。
大規模なシステム開発やITサービスを国内外で展開しており、非常に大きなプロジェクトに関わる可能性があります。
富士通
国内を代表するIT企業の一つです。
企業や官公庁向けのシステム、クラウド、AIなど幅広い領域で事業を展開しています。
NEC
官公庁・企業向けのシステムやネットワーク、セキュリティなどに強みを持つ大手IT企業です。
社会インフラに関わる大規模なプロジェクトなどにも携わっています。
大手SIerのメリット
最大のメリットは、
大規模プロジェクトの経験を積める可能性があること
です。
例えば、
- 顧客折衝
- 要件定義
- 基本設計
- プロジェクト管理
- チームマネジメント
- ベンダーコントロール
などを経験できれば、将来的な市場価値にもつながります。
また、大手企業では教育制度や福利厚生などが充実している場合もあります。
デメリット
当然ですが、
転職難易度は高くなります。
「SESで3年間働いたから大手SIerに入れる」
というほど簡単ではありません。
そのため、
実務経験 × 資格 × 自己研鑽 × 面接対策
を組み合わせることが重要になります。
ただし、第二新卒~社会人4年目程度の若手であれば、
ポテンシャルを含めて評価される可能性があります。
最初から「自分には無理」と諦める必要はありません。
おすすめ度
★★★★★
「せっかく転職するなら、キャリアを一段上げたい」
という人には、ぜひ挑戦してほしい選択肢です。
④ SES → Web系
4つ目は、
SESからWeb系企業への転職
です。
Web系企業には、
- Webサービス
- SaaS
- EC
- アプリ
- メディア
- スタートアップ
など、さまざまな企業があります。
代表的な企業例
LINEヤフー
LINEやYahoo! JAPANなど、国内最大級のインターネットサービスを展開するテック企業です。
検索・ポータル、メッセンジャー、EC、広告など、非常に幅広いサービスを展開しています。
メルカリ
フリマアプリ「メルカリ」を中心に、Fintechなどのサービスも展開するテクノロジー企業です。
自社サービスを継続的に改善していくWeb系企業を目指す人にとって、代表的な企業の一つです。
サイバーエージェント
インターネット広告、メディア、ゲームなど幅広いインターネット事業を展開しています。
AIなど新しい技術領域にも積極的に取り組んでいます。
Web系のメリット
Web系企業の魅力は、
自社サービスを成長させる仕事に関われること
です。
SESでは、
「顧客から依頼されたシステムを作る」
ことが中心になる場合があります。
一方、自社サービスでは、
「ユーザーにどう使ってもらうか」
「どう改善するか」
という視点が重要になります。
そのため、
- 技術力
- ユーザー視点
- サービス改善
- データ分析
- 開発プロセス
など、幅広い経験につながる可能性があります。
デメリット
一方で、
人気企業ほど転職難易度は高い
です。
特にモダンな開発環境を持つ企業では、
- Git
- GitHub
- クラウド
- CI/CD
- コンテナ
- モダンなフレームワーク
- チーム開発
など、企業によってさまざまなスキルが求められます。
また、
「Web系=高年収」ではありません。
年収だけでなく、技術環境や仕事内容まで確認する必要があります。
おすすめ度
★★★★☆
「技術力を伸ばしたい」
「自社サービスに関わりたい」
「開発を突き詰めたい」
という人におすすめです。
⑤ SES → ITコンサル
そして最後が、
ITコンサルタントへの転職
です。
私は、
「年収100万円アップ」と「市場価値アップ」を同時に狙いたい20代
には、ITコンサルを一度検討してほしいと思っています。
代表的な企業例
アクセンチュア
世界的な総合コンサルティング企業で、IT・クラウド・AI・データ・業務改革など幅広い領域を扱っています。
ITエンジニアとしての経験を活かしながら、より顧客に近い立場で仕事をしたい人にとって代表的な転職先の一つです。
アビームコンサルティング
日本発の総合コンサルティングファームです。
企業の業務改革やIT戦略、システム導入など、企業の変革を幅広く支援しています。
ベイカレント
日本発の総合コンサルティングファームです。
企業の経営・業務・ITなど幅広い領域でコンサルティングサービスを提供しています。
ITコンサルのメリット
ITコンサルの大きな魅力は、
技術だけではなく「課題を解決する能力」を身につけられること
です。
例えば、
- 顧客とのコミュニケーション
- 課題整理
- 要件整理
- IT戦略
- プロジェクト推進
- ベンダーコントロール
- 資料作成
- マネジメント
などです。
エンジニアとしての技術知識に加えて、こうした能力を身につけることができれば、
「プログラムを書く人」から「ITを使って企業の課題を解決する人」
へキャリアを広げることができます。
デメリット
もちろん、簡単な道ではありません。
求められるレベルも高く、
- 論理的思考力
- コミュニケーション能力
- 資料作成能力
- 主体性
- プロジェクト推進能力
などが必要になります。
また、
「年収が高いから楽に働ける」わけではありません。
むしろ、高い成果を求められる仕事です。
だからこそ、
「もっと成長したい」
「市場価値を上げたい」
「20代のうちにキャリアを大きく変えたい」
という人に向いています。
おすすめ度
★★★★★
「年収と市場価値を一気に上げたい」という人は、ぜひ選択肢に入れてほしい転職先です。
5つの転職先を比較するとこうなる
ここまでの内容をまとめると、以下のようになります。
| 転職先 | 転職難易度 | 年収アップ期待 | 市場価値 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| SES上位 | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | まず待遇を改善したい |
| SIer | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ★★★★☆ | 上流工程へ進みたい |
| 大手SIer | ★★★★☆ | ★★★★★ | ★★★★★ | 大手・大規模案件を経験したい |
| Web系 | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★★☆ | 技術力・開発力を伸ばしたい |
| ITコンサル | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ | 年収・市場価値を大きく上げたい |
※上記はあくまで転職先を比較するための目安です。実際の年収・難易度は、企業・職種・経験・スキルによって大きく異なります。
では、結局どこへ行けばいいのか?
ここまで読んで、
「結局、自分はどこを目指せばいいの?」
と思う人もいるでしょう。
私は、目的によって決めればいいと思っています。
「今より少し良い環境に行きたい」
👉 SES上位
今の仕事に大きな不満はないけれど、
「もう少し給料がほしい」
「案件の質を上げたい」
という人向けです。
「上流工程に行きたい」
👉 SIer
設計・要件定義・顧客折衝など、より上流の経験を積みたい人に向いています。
「大手企業へキャリアアップしたい」
👉 大手SIer
20代のうちに大手企業へ移り、大規模プロジェクトの経験を積みたい人は挑戦する価値があります。
「技術力を伸ばしたい」
👉 Web系
開発そのものが好きで、
「もっと技術を突き詰めたい」
という人にはWeb系が向いています。
「年収・市場価値を大きく上げたい」
👉 ITコンサル
難易度は高くなりますが、
「20代のうちに市場価値を一気に上げたい」
という人には非常に魅力的です。
私なら「転職できる会社」ではなく「市場価値が上がる会社」を選ぶ
ここが、この記事で一番伝えたいことです。
SESから転職するとき、
「今より良い会社に行ければいい」
と考えてしまう人は多いと思います。
もちろん、それも間違いではありません。
しかし、私はもう一歩先まで考えることをおすすめします。
「この会社に3年間いたら、自分はどんなエンジニアになっているだろう?」
と考えてください。
例えば、
▼ 今
↓
SESでテスト・運用中心
▼ 3年後
↓
同じようなテスト・運用
では、キャリアの伸びは限定的です。
一方、
▼ 今
↓
SESで開発経験
▼ 転職
↓
SIerで設計・要件定義
▼ 3年後
↓
顧客折衝・プロジェクト推進
となれば、次の転職で選べる企業も変わってきます。
つまり、
転職はゴールではありません。
次のキャリアを作るための「一手」です。
20代なら「自分には無理」と決めつけない
特に第二新卒~社会人4年目程度のITエンジニアには、まだ大きな武器があります。
それが、
若さです。
もちろん、若いだけで転職できるわけではありません。
しかし、
若さ × 実務経験 × 自己研鑽
を組み合わせることで、ポテンシャルを含めて評価してもらえる可能性があります。
私自身も、SES・下請けIT企業で働きながら、
- 実務経験
- 基本情報技術者
- AWS資格
- 自己研鑽
- 転職活動
を積み重ねました。
そして、
「今の自分にできること」だけではなく、「これから何ができるようになりたいのか」
まで考えて転職活動を行いました。
だからこそ、
「自分はSESだから大手は無理」
「Fラン大学だから無理」
「まだ経験が浅いから無理」
と最初から諦める必要はないと思っています。
年収100万円アップを狙うなら、まず準備から始めよう
もちろん、いきなり転職活動を始める必要はありません。
むしろ、
在職中に準備を進めること
をおすすめします。
まずは、
STEP1:自分の市場価値を確認する
今の経験で、どんな求人に応募できるのか調べてみる。
↓
STEP2:目標を決める
SIerなのか、Web系なのか、ITコンサルなのか。
↓
STEP3:不足しているスキルを補う
資格・技術・実務経験など、自分に足りないものを補っていく。
↓
STEP4:職務経歴書・面接対策を行う
「何をやったか」だけではなく、
「その経験から何を学び、次の会社で何ができるのか」
まで言語化する。
↓
STEP5:実際に応募して市場から評価してもらう
ここまでやって初めて、
「自分がどれくらいの企業から評価されるのか」
が分かります。

まとめ
SESから年収100万円アップを狙う場合、転職先にはさまざまな選択肢があります。
今回紹介した5パターンをまとめると、
▼ SES → SES上位
比較的転職しやすく、今より良い待遇を狙いやすい。
▼ SES → SIer
上流工程や顧客折衝を経験したい人におすすめ。
▼ SES → 大手SIer
大規模プロジェクトや大手企業での経験を積みたい人向け。
▼ SES → Web系
技術力・開発力を伸ばし、自社サービスに関わりたい人向け。
▼ SES → ITコンサル
転職難易度は高いが、年収と市場価値を大きく伸ばせる可能性がある。
そして、私が一番おすすめしたい考え方は、
「SESからどこへ逃げるか」ではなく、「次の会社でどんな市場価値を身につけるか」を考えることです。
20代、特に第二新卒~社会人4年目程度であれば、まだまだキャリアを大きく変えられます。
今の会社で何となく3年、5年と過ごすのではなく、
これからの1年間を、自分の市場価値を上げる1年にする。
そして、
年収100万円アップを狙えるだけの市場価値を作る。
そのために、
「どこへ転職するか」
を逆算して考えてみてください。
転職は、今の会社から逃げるためだけのものではありません。
これからのキャリアを自分で選ぶための手段です。
「転職したいけど、そもそも何から準備すればいいかわからない」
という方はこちらの記事もおすすめです。
▼【20代ITエンジニア】若手ITエンジニアの転職を成功させる方程式|若さ × 自己研鑽 × 実務経験
第二新卒~社会人4年目の若手ITエンジニアが、転職市場で評価されるために何を準備すべきなのかを、私自身の転職経験をもとに解説しています。




コメント